2012.6policy_sdp,tokyo



五期目に入った介護保険制度

これ以上の負担は限界に

介護保険三多摩.jpg表2・都内市町村の介護保険料介護保険23区.jpg表1・特別区の介護保険料これから各家庭に介護保険料の通知が届けられると驚きが拡がることは間違いありません。表1、2を見ればわかるように第5期計画期間(2012年度~14年度の3年間)の65才以上を対象とする第1号被保険者の介護保険料(基準保険料)は、ほとんどの自治体で大幅アップになるからです。23区では、平均25%、三多摩では19%にのぼります。清瀬では46.8%、墨田、北、葛飾、豊島、練馬などではいずれも30%以上のアップです。保険料は23区では荒川の5792円、三多摩では清瀬の5849円が最高額です(稲城、羽村、日の出では据え置きとなっています)。
 高齢者のくらしが悪化している中でこうしたアップが続けば、負担感はさらに大きなものになります。現状では介護保険料の収納率は23区ではほぼ98%ですが、これが低くなることが懸念されます。
 どこの自治体でも介護保険料の大幅アップは避けたいとの思いがありますが、介護保険の仕組み上、保険料のアップは避けられないものになっています。介護保険の財源は、公費(税)が50%、保険料が50%で、そのうち21%が第1号被保険者保険料、29%が第2号被保険者保険料となっています。高齢社会の進展とそれに伴う介護給付の拡大が進めば、介護保険料に跳ね返るからです。そこで自治体は、保険料の大幅アップを避けるために表3の保険料算定手続きの⑤、⑥の中で政策的軽減を図ろうとします。
 その一は、⑤で示された介護保険の剰余金を積み立てた「介護給付費準備金」と東京都介護保険財政安定化基金の取り崩しによる軽減です。第4期では、多くの自治体では準備金がかなりの積み立てられていたこともあったことや国の「介護従事者処遇改善臨時特例交付金」があったため、3000円台の保険料を政策的に決定することや練馬区のように第4期では準備金をほぼ全額取り崩して繰り入れ、3950円と第3期の保険料に据え置く自治体もありました。しかし、世田谷区のように第4期では13億5000万円の繰り入れを行ったものの、第5期では取り崩せる準備金が少なくなっているという理由で基金の取り崩しを行わない自治体も生まれています。
 今回は東京都介護保険財政安定化基金の取り崩しによる軽減が行われています。同基金は、計画期間内において保険料収納率の悪化等により、介護保険財政における財政収支の不均衡が生じる場合等に対応するため、都道府県ごとに設置された基金ですが、法律改正が行われて軽減のための取り崩しが認められることになったからです。その額は練馬区では計画期間内で3億5200万円になっています。

制度設計の変更が必要に

介護保険の算定手順.jpgその二は、⑥で示された介護保険料の多段階化です。これは被保険者の負担能力に応じたきめ細かい保険料の設定を行うものです。世田谷区では10段階から15段階に変えることによる保険料の引き下げ効果を159円としています。安定化基金による引下げ効果67円に比べ大きいものになっています。
 自治体側の軽減努力があったとしても今のままの制度では限界があります。そのため制度変更による公費負担の引き上げの必要性が叫ばれています。これは現行の50%の公費負担を例えば60%にするなどの変更です。しかし国はこれを認めず、公費支出と介護給付費の抑制・削減をストレートに図ることを考えています。今回は訪問介護の生活援助について基準60分を45分に見直しましたが、さらに、要支援認定者へのサービスのカット、2025年に要介護認定者数の3%削減などを狙っています(政策特集NO,3「どうなる介護保険制度の見直し」参照)。しかしこれでは、介護保険の理念を捨て去ることにつながっていきますし、高齢者のくらしや介護が安定し充実したものになるとは考えられません。自治体は、高齢者のくらしを維持するための施策として税で様々な福祉事業にとりくんでいます。介護保険サービス(給付)としっかり区分けし、さらに充実させ、総合的に事業展開することが必要です。

介護保険会計への高齢者事業移行をただす
北区・佐藤ありつね区議

satouaritune170230.jpg北区の佐藤ありつね区議は、2012年度当初予算審議の中で、これまで一般会計の高齢者福祉関連予算で賄ってきた事業のうち、どの程度、介護保険会計に移行したのかをただしました。
 これによると、①家族介護者リフレッシュ事業(100万円)、②デイホーム事業(5568万円)などが一般会計から介護保険会計に移行。加えて、①地域見守り・支え合い活動促進事業(町・自治会に委託。1100万円)、②高齢者見守りコーディネート事業(6600万円)、③シルバーピア生活援助員派遣事業(670万円)、元気な高齢者のための芝居を見る会事業(84万円)など4事業ほどが新たに地域支援事業費として計上されました。
 北区は本年3月に制定した「第5期介護保険事業計画」で、向こう3年間の介護給付費を推計しています。12年度が218億、13年度が240億、14年度が254億円としています。地域支援事業費は介護保険法および同法施行令で「介護給付費の3%が限度」と規定されていますので、12年度が6億5300万、13年度が7億1900万、14年度が7億6100万円と算定しています。北区は「介護保険給付費の増額に連動し地域支援事業費も増額。国や都の補助金を適切に活用するため、介護保険会計に移した」と説明しています。佐藤区議は「保険料の算定には地域支援事業経費もカウントされ、区民負担の強化につながる。本来的には一般会計で賄うべき高齢者施策を何もかも介護保険会計に移行するのは問題がある」と話しています。